けしぶ

オクラホマシティサンダーについてあれこれお話しする場所です

サンキューOKC Guys Vol.5

長々と続けてきたサンキューシリーズも最終回と相成りました。今回の4人もそれぞれ積もり積もった話がありますし、クリスポの愛弟子3人は今までのメンバーと違って今シーズンの話だけじゃない部分もあるのでこれまた長くなってしまいそうですが、Twitterやスタッツ、ぼくの記憶を頼りに色々思い出して語り尽くしたいと思います。

 

 

今回のトップバッター、合計出場時間4位はぶつかり稽古が得意な肉弾戦車、ドートです。ドートには今シーズン何回か言及したと思いますが、改めて振り返ると彼は今まで通り向上心を忘れずに努力を続けるハードワーカーでした。鮮烈なデビューとなった19-20シーズンから20-21シーズンの間にドートは結構な進化をしましたが、今シーズンもさらに大きく進化して帰ってきました。

その進化とはずばり全体的なオフェンス力の向上で、スリーは怖がらずに打ってそれなりに決めてくれるほか、そのパワーを生かしたドライブはとてつもない破壊力であり、既にGo To Moveになってるかもしれないくらいドートの得意技になりました。ずーっとリーグ中から言われていたシュートも勿論取り組むべき課題として向き合いつつも、それ以外のドリブルやレイアップのような技術も磨き続けていたが故のこの進化だったため、ドートのひたむきさや練習量には舌を巻くばかりでした。

ドートの良い点としてぼくが思うのは、自分の役割を正確に理解していてそれを遂行するための努力を欠かさない点と、それに加えてそれ以上の役割を得るための努力も自ら考えて行っている点です。元々ドートに求められていた役割は運動量やハッスルで行われるディフェンスと加えてオープンスリーが打てれば嬉しいっていう感じのD寄り3&Dだったと思います。デビュー戦でもハイライトはルーズボールダイビングだったわけでこれはハッスルしてこいというドノバンの指示に依るものだったはずですし、何より2way契約の若者に求めるものなんてたかが知れてます。それが今や彼のオフェンスの役割は激増しておりさらにその遂行力も馬鹿に出来ないレベルまで上がっています。それでいてディフェンスでさぼっているわけでもなく、常に100%のエナジーでプレーをしてくれているところがまた最高なのよ。

こうして3年間NBAでのドートの活躍を観続けている身としては来シーズンの成長にも期待したくなりますし今後も投資していきたいと思っちゃいます。だって彼ほどの努力をしても駄目ならそれ以上は才能の世界になってしまうわけで、そんな究極の才能なんてドラフトのtop3や超プロジェクトな選手がバスケの神様に愛されるくらいの確率の話になりますし、選手やフロントがコントロール出来る範囲を超えてしまうじゃないですか。それなら例え神様に愛されずとも自分に出来ることを全てやる選手に賭けたくなるじゃないですか。実際その努力のおかげでここまでの選手になれたわけだし、まだこの先もあると信じたいです。

再契約や契約延長の話もこれからプレスティとしていくらしいのでお互いに納得いくようにまとまることを期待しています。他チームのジャージを着ているドートは正直見たくないので残って欲しいものの財布事情的にお金をあげすぎることも出来ず、かといってケチるのも今までの契約を考えるとそれもドートへのディスリスペクトになるため悩ましい問題です。でも頼む残ってくれドートよ。

神様が出てきたり最後が契約の話になったりして脈絡がない感じになりましたが、まとめるとドートは最高の努力家でこれからもお世話になりたい選手だという話でした。という感じで今シーズンもありがとうございました&お疲れ様でした。肩のリハビリ無理せず頑張ってね!

 

次は神童で令和のラリーバードこと、ジョシュギディです。そこまでタンクに付き合わされたわけじゃないルーキーが堂々の合計出場時間3位です。

ギディについてはケンリッチと同じで個別に記事書いたのでそんなにたくさんは書きません。その個別記事でも語りましたが、ぼくのギディのドラフト前評価は「ケイドの劣化版」でした。シュートが微妙でウイングスパンも短いっていうのが現代NBAにミスマッチすぎたためギディを疑問視していたのが正直な評価で、ドラフト時も現地のOKCキャップボーイと同じようにちょっと落胆してしまいました。それがまさかこれ程の天才だとはっていう感じで、今となってはケイドと交換したいなんて本当に全く思えないほどギディが大好きです。

そんなギディにはこのオフはまず十分にリフレッシュすることを大切にして欲しいです。NBAのルーキーイヤーは精神的にも肉体的にもタフだと思うので、貰ったサラリーでしっかり休んで遊んでをしてください。スキルアップに関しては、個人的にはドライブしたけど思ったような展開にならなかったときにすぐにドリブル止めるちゃうのがもったいないと思うので、自分の試合やドンチッチとかの上手い人の試合のフィルムをたくさん見て勉強してもらって、ついでに練習もしてくれればもう満足です。

今シーズンはギディのおかげで心底楽しいシーズンになりましたし、来年も再来年もギディがいるチームを応援出来るなんて夢のようです。今はオーストラリアで子供達を招いたバスケキャンプをしていますが、お国繋がりだと将来は豪代表Boomersの一員として活躍している姿も期待してよさそう。これからはどんどん色んな経験をして最高のプレーヤーに成長して欲しいです。来年は17-8-8くらい目指して頑張ってね!

 

お次は今シーズン2番目にたくさん試合に出たベイズです。19年ドラフトでOKCの一員になって早3年、今シーズンはなかなか紆余曲折だったと思います。開幕からスタメンフォワードとして出続けるも要らないドリブル、迷いのあるドライブ、入らないスリーとどれを取っても中途半端どころかむしろマイナスなプレーが多く、次第にファンや番記者さん達から来年のことを心配されるようになりました。

そんなこんなでGリーグ行きも視野に入ってきた12月、遂にスタメンから外されますがここからベイズのポテンシャルが徐々に開花していきました。ベンチ出場ということで気の持ち様が変わったのか何なのか分かりませんが上記のようなプレーが格段に減り、やって欲しいプレーをしてくれるようになりました。オフェンスで求められる役割に適応してきたこととスタメン落ちする前から急に力を入れ始めたディフェンスが相まって、その後はそれなりの活躍を残すことが出来ました。

このパフォーマンスを観てぼくがベイズに期待するのは"smaller but mobile JJJ"になることです。JJJは比較対象として名前を出しましたが別に彼になれと言っているわけではなく、もっと正しく細かく書くと「JJJと比べてスリーは苦手だけどその分少し器用なオフェンス+JJJと比べてリム周りはほんの少し弱いけどその分ペリメーターも多少守れるディフェンス」です。つまりもうオフェンスのスターになることは求めておらず、まずはディフェンスでバーサティリティを見せつつリム周りを中心に存在感を発揮してもらって、オフェンスでは合わせや最低限のドライブ、そしてスリーも打てれば尚良し、っていう選手像になって欲しいと思っています。スリーはもう無理かもしらんので必須要項としては挙げません。

自分語りになりますが、ぼくもバスケではなかったとはいえチーム競技の球技をやっていた経験があり、現役の頃はあれこれ悩んで中途半端なプレーをよくしてたので今のベイズの気持ちは分かってるつもりです。それに加えて次の契約をより良くするためにスターみたいなプレーをしたいのも分かります。でも昨シーズンと今シーズン合わせて2年間も自由にプレーするチャンスを与えられたにもかかわらず期待出来るようなパフォーマンスを残せなかったわけですし、来シーズンからは他の若手もたくさんいるのでもう特別扱い出来ません。なのでベイズには自分の強みをよく振り返ってもらって、今のOKCに貢献するには何をする必要があるのかを今一度考え直してもらいたいです。今シーズントレードされなかったことからもまだフロントからは期待されてると思いますし、6'8であの動き、プレーが出来るのは普通にやばい才能です。重ね重ね言いますがベイズにはとにかくこのオフシーズンに自分の役割をしっかり理解してもらってそのための準備をしてもらいたいです。悩むのはもう止めろ。

ぼくは本当に期待してるからね。OKCでシェイとドートと一緒に笑ってるベイズをまだ見ていたいので頑張れよ。

 

というわけで、出場時間的にもプレー的にも今シーズン最もOKCを引っ張った男はシェイギルジャスアレキサンダーでした!流石エースの名は伊達じゃない。

今シーズンのシェイは総じて言うとやばかったですね。外部からの評価は人によってまちまちでスタッツが去年よりも見栄えが悪いとか言う人もいますが、昨シーズンと今シーズンのシェイのプレーをちゃんと観比べれば口が裂けてもそんなことは言えないはずです。

数字が下がったのは徹底的にマークされまくったからで、今のOKCのロスターと戦術を考慮するとシェイへのダブルチームが来やすく、その結果シェイのタフショットが多くなりました。空いてる味方にパスをしてもそいつがシュート外すもんで結局シェイがシュートを打つことになるっていうのが極めて多く、要するに戦術シェイが横行していたシーズンとなりました。なのでそんな環境でこれだけの数字を残せたのは驚異的でありむしろ評価するべきことなのです。数字で語ると1試合当たりにダブルチームされた数は4/25現在ではドンチに次いで2位でした。(↓参考です)あんなに狭い中でよく戦ったよ…

nbacourtoptix.nba.com

シェイの進化ポイントはいくつもあります。ひとつ目はシーズン序盤に多投してそれを決めまくったステップバックスリーです。ドライブが上手いシェイだからこその破壊力でディフェンスの裏を突く技として彼にぴったりです。

ふたつ目はドリブルで、元々上手だったんですけど今シーズンは今までよりもさらに成長し、アンクルブレイクも一度や二度ではありませんでした。個人的にはクロスオーバーはリーグ最高クラスのキレ味だと思っています。

みっつ目はミドルレンジゲームです。プルアップスリーもステップバックも出来てさらにドリブルも上手いとなるとこの時点でディフェンスはお手上げだと思うんですけど、シェイはそれらに加えてミドルジャンパーまでもマスターしてきました。ここまでくるとシェイが出来ないことを挙げる方が難しいような気がします。オールスター後で見てみると、ミッドレンジのアテンプト数と確率は

  • デローザン:10.7-39.6%
  • KD:8.5-56.2%
  • クリスポ:3.9-55.6%
  • ドノミチ:3.5-46.8%
  • シェイ:3.2-53.7%

という感じです。人選はぼくの印象でよくミドルを打ってると思う人を選びましたが、本数こそ少ないかもしれませんがその精度は非常に優れていると言ってもいいんじゃないでしょうか。

他にも細かいところでたくさんありますがその都度調べ物もしながら書くのは大変なのでこの辺にしときます。もちろんディフェンスもサボらず頑張ってるのでそこも褒めてあげたい!

こんな感じでシェイは独力で点を取ることが出来る選手へと成長しましたが、今シーズンも結局タンキングで1年が終わってしまいシェイには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。しかしこの状況も自身の個人技の上達に一役買ったとポジティブに捉えてもらって、これはこれで実りのあるシーズンになったと思って欲しいですね。

ということは次にやることは決まっています。シェイという船長に合う船を作るのです。フロントにはドートやギディ、ポクらの成長具合をよく視てもらって残すべき選手を選別してもらうとともにドラフト等による新たな戦力の追加もしっかりと行ってもらって、まずは戦術シェイからの脱却を目指しましょう。それでもってシェイには完成したOKC Thunderという船の船長として存分にその力を揮って欲しいです。それで優勝とかした日にはもうね、言葉にできんわ。

シェイへのマックス契約は後悔どころか提示しといてほんとに良かったと思います。チームとシェイの間の信頼関係もちゃんと築けてそうですし何よりシェイはマックス貰っても全く油断してないのが偉すぎました。実力は言わずもがなですしね。

最高だよシェイ。貴方を信じてるから今後も一緒に旅を続けていこうね。

 

 

はい!これで21-22シーズンにOKCで頑張ってくれた選手一人ひとりに感謝とリスペクトを込めたコメントをするサンキューシリーズが終わりました!それぞれの選手について語りたいことはたくさんあるのに文字にするのが大変で上手くまとまらないっていうことが多くて、やっぱりこういうときは書くより話す方がいいなーと思ったりしましたが、こうやって書き残すことで来年再来年さらにその先になったときにまた振り返ることが出来るのでこれもこれで有意義な記事になったと思います。優勝したときに帰ってきて「あんなことがあった、こんなことがあった」と語れる日が来るのを心の底から期待して、改めて選手みんなへの感謝とリスペクトの言葉とさせていただきます。

最後になりますが、OKCを支えるフロントの皆様と選手に近いところでサポートしてきたコーチ陣の皆様、たくさんの有益な情報を提供してくださったメディアの皆様、現地だろうと海外だろうとOKCを応援しているファンの皆様、大変楽しい21-22シーズンを創り上げてくださり、誠にありがとうございました。

来シーズンもよろしくね!

 

それでは。