↑シェイの表情がよかったので今回のサムネにしました
この記事は一個前の記事の続きみたいなものです。多分そっちから読んだ方がいいのでリンクを張り付けておきます。
あと、スタッツの見方や計算方法、考察に明らかな間違いがある場合は、お手数おかけしますがご指摘いただけると大変助かります。なるべくミスのないよう頑張ったつもりなので、よろしくお願いいたします。
では本記事に入ります。
目次
背景 ―OKCの現状―
21-22シーズンのOKCはドライブ数がリーグダントツ1位で、そのドライブの結果パスをした割合(PASS%)っていうのもリーグ4位でした。このことから、現在のOKCの作戦である「ドライブ→キックアウト」が数字にもしっかり表れる程遂行されていることが確認出来ています。
その一方で、ドライブからのパスがアシストになった(=パスをしてそれを得点に出来た)割合(AST%)がリーグ26位というスタッツもあります。これは、OKCはリーグ1位のドライブ数でリーグ4位のPASS%なのにそれが得点に結びついていない、ということを表しており、芳しくないスタッツとなっています。
他のチームのスタッツを見ると、基本的にドライブにおけるPASS%が高いチームはAST%も高い傾向にあります。逆にPASS%が低ければAST%も低いです。しかしOKCはPASS%が高いのにAST%が低いという、歪な関係になってしまっているわけです。
本記事の目的
この背景を踏まえて今回検証するのは、大きく分けると次の2点です。
- そもそもPASS%とAST%の間には正の相関があるのか
- OKCの歪度はどれくらいなのか
これを調べるための方針として、PASS%のデータとAST%のデータをそれぞれ標準化して、それらを視覚的に分かるようにグラフ化、簡単な比較計算を行って、それらを元に検証、考察をしていきます。
データについて
今回議論するのは「チーム毎のドライブした際のPASS%とAST%」です。なお、データの取得元はNBA.comです。
ここで言っているPASS%とは、ドライブをした結果パスすることになった割合です。例えば100回ドライブしてその結果パスになった回数が40回なら、PASS%=40%になる、といった具合です。多分。
そしてAST%は、(ドライブをした結果パスすることになり、そのパスにアシストがついた数)/(ドライブ数)です。上の例を使いまわすと、40回のパスのうちアシストが15ついたとしたら、AST%=15/100=15%になるわけです。多分。
注意点として、本記事はドライブをした後の結果にのみ注目しているため、ドライブ以外のプレーに関するPASS%やAST%は全く考慮されていません。なので、本記事内で「PASS%が低いチーム」と表現したとしても、「そのチームは試合全体でパスが少ない」ということにはなりません。この点を注意してこの先も読んでいただけると幸いです。
次にデータの加工について説明します。まず、NBA.comにある数字をそのままグラフ化、比較しても上手く結論付けるのが難しいという問題があります。なぜなら、「PASS%の1%の違い」と「AST%の1%の違い」の間の関係はイコールではないためです。
そこで今回はこの2種類のデータをそれぞれ標準化し、真の意味で同じ単位に落とし込むことで比較出来るようにします。標準化の詳細については割愛します。
グラフ化
データを標準化し、それを棒グラフで表したのが下の図になります。
見方を説明します。まず黄色いラベルをされているのがチーム名で、30チームあります。そして各チームがPASS%の棒グラフとAST%の棒グラフを持っているので、棒自体は2×30で60本あります。青いグラフがPASS%を表していて、オレンジのグラフがAST%を表しています。なお、このグラフはPASS%(青いグラフ)が高い順に左から並んでいます。
次にグラフの読み方ですが、標準化したためPASS%もAST%も平均が0になっています。なので、0よりも大きい(0の横線よりも上に伸びている)ということは平均以上を表します。例えば、青いグラフ(PASS%)が上に伸びてたらそのチームはPASS%が平均よりも高い、ということになります。勿論AST%のオレンジグラフも同様です。逆に0よりも小さい(0の横線よりも下に伸びている)場合は、平均以下になっていることを示しています。
検証・考察
グラフがかけたので、ここからは検証、考察していきます。
まず目的のひとつ目だった「PASS%とAST%の間には正の相関があるのか」についてですが、これはありそうな気配がしますよね。PASS%が高い上位5チームはOKCを除いてみんなAST%も高めです。一方でPASS%が低い5チームはみんな見事にAST%も低くなっています。
いくつかのチームはこの法則に当てはまっていませんが、それぞれちゃんと考察すればなんとなくその理由が見えてきます。例えばATLはPASS%は少ないですが、トレイヤングがチームのメインハンドラーであり、彼はドライブ後に自分でシュートを打つ回数が非常に多い選手です。それが影響してチームとしてパスの割合が減っているんじゃないか、と考えるとPASS%が低い仮説として提案できそうです。それに対してAST%が非常に高いのはスリーが上手いチームだからなのは勿論ですが、トレイがビッグマンを操ってイージー2点を演出するのが上手いから、というのも考えられます。こんな感じで各チーム考察してみるのも楽しいと思いますので、もしよかったら色々コメントください。
というわけで、今回は多少のぶれはありつつも多分PASS%とAST%の間には正の相関がある、と結論付けることにします。単回帰しろって?めんどくさいからやらん
次に「OKCの歪度はどれくらいなのか」を検証します。ここでもデータの標準化が役立ちます。
元のPASS%の数字とAST%の数字を足し引きしてもうま味のある数字にはなりません。しかし、標準化したことで2種類のデータの差、といいますかその不合度、歪度みたいなものを計算できるんです。
どうするかというと、PASS%の標準化データからAST%の標準化データを引いて絶対値を取るだけです。これで計算された値が大きいチームほど、本来は正の相関がある(と今回は結論付けた)PASS%とAST%の関係が歪んでいるということを示します。
それを計算したのが下のグラフです。
はい仮説立証!
見事にOKCが飛びぬけてPASS%とAST%の歪度が大きくなりました。本来大きな歪度の違いがないはずのPASS%とAST%の間の関係について、リーグで1番歪みのあるチームがOKCだった、という結果が数字的にもしっかり証明出来ました。
まとめ
本記事では、ドライブをした後のPASS%とAST%について、データを標準化することで比較出来るようにし、グラフ化と計算を用いて仮説検証を行いました。その結果、多少のぶれはありつつも概ねPASS%とAST%の間には正の相関があること、そしてOKCが一番PASS%とAST%の間の関係が歪んでいるチームであることが分かりました。
今後の課題があるのか分かりませんが、何か気になることがあればまた検証してみたいと思います。
以上で夏の自由研究を終わります。こんな駄文をここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。
それでは。